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株式会社ガリバーインターナショナル 代表取締役会長 羽鳥 兼市

お客さんのためにならない業界の常識なんか破ってしまえ

「ドライバーに車を売らない買取専門」という常識破りの手法で、群雄割拠の中古車業界を制したガリバー。売上1,328億円超(2012年2月期:連結)は、約5万社のライバルを圧倒してのNo.1だ。同社は、優れた戦略とそれを徹底する覚悟があれば、成熟市場であっても急成長できることを鮮やかに証明してみせた。「ネット上での中古車販売」「2人社長体制」など、常識破りの挑戦を続ける会長の羽鳥兼市氏が、その経営術を語った。

※下記は経営者通信23号(2013年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―設立4年で株式を店頭公開、9年で東証一部上場と、急成長できた要因はなんでしょうか。

羽鳥:1994年にガリバーを設立したとき、ゼロからスタートしたわけじゃなくて、下地があったからです。 私は36歳で中古車販売事業を始めて、ガリバー設立までに20年近くのキャリアがあったし、いまと同じ「買取専門」という業態も85年に福島県郡山市でやっています。これは時期が早すぎて、うまくいきませんでしたが。このような中古車業界での長い経験があって、54歳でガリバーを設立したわけです。

―なぜ、新たなチャレンジに挑んだのですか。

羽鳥:お客さんから信頼される業界に変えたかったからです。昔は、車に詳しくなさそうなお客さんに対しては、300万円の価値のある車でも「80万円で買い取ります」なんて日常茶飯事。私自身、マイカーを業者に買いたたかれました。福島から子ども連れで東京に出向いて売りに行ったら、約束の値段の3分の1だという。きちんと書類をそろえていったのが、かえってあだになった。「こいつは絶対に売りたいんだ」と、足元をみられたんですね。これでは、信頼されなくて当たり前です。

―不透明な値付けが横行していたと。

羽鳥:どうしてそんな値付けをするのかといえば、在庫リスクがあるからです。買い取った車を展示場に置いて、エンドユーザーに販売するわけですが、売れるまで置いておかなければいけないし、売れないかもしれない。 日本の自動車メーカーはひんぱんにモデルチェンジをするので、中古車の価格はそのたびに下がります。それを見こして、価値が落ちる1~3ヵ月後に売り払っても、損しない価格で買い取らなければいけない。その間、展示場を運営する人件費や宣伝費も必要。リスクを考えて買値をつけると、「できるだけ安く」となってしまう。

―そこでエンドユーザーには販売せず、「買取専門」の会社を立ち上げたわけですね。

羽鳥:買い取った車は、全国のオークションにすぐ出品し、在庫をもちません。オークションというのは、中古車販売会社の間で売買する場です。ガリバーの本部は「この車のこの年式だったら、いま北海道のオークション会場で一番高く売れる」といった具合に、全国の最新情報を収集しています。それに基づいて、そのタイプの車の買取案件があった場合、北海道のオークションに出すことを前提に、値付けをするわけです。この査定は本部一括方式なので、全国どこでも、同じ種類の車で、似たような状態なら、同じ時期には同じ値段です。われわれの在庫リスクや販売経費はないので、高く買い取れる。「値付けが透明で高く買い取ってもらえる」ということで、お客さんからの信頼を得ることができたんです。

―設立当初から全国展開を目指していたと聞きました。

羽鳥:全国のオークション情報を集めなければいけませんからね。設立してすぐに、「5年以内に全国500店舗を展開する」と目標を立てました。中古車業界のプライスリーダーになって流通革命を起こす意気込みだったので、この目標を全員で毎日唱和。といっても、最初は私を含めて2人だけでしたけれど(笑)。 掘っ建て小屋のような倉庫を利用した、郡山市の1号店でね。目標通り、5年後の99年9月に500店舗を達成しました。初心を忘れないように、現在は全店舗に1号店の写真を掲げさせています。

―競合他社はエンドユーザーへの販売で利益を上げているので、なかなか「買取専門」という業態を発想することは難しかったようですね。

羽鳥:発想というよりも“覚悟”がいりますね。いまだから話しますが、設立当初のことです。買い取った車をオークション会場に運ぶためにキャリアカーに載せるのですが、そのなかに当時人気の車種があって、「コレは降ろせ! 小売に出そう」なんて言ったことが、2回ぐらいありました。でも反省しましてね。キャリアカーに載せるときは、文字通り目をつぶることにしました(笑)。とにかく在庫をもたない経営に徹しようと。

―いまはエンドユーザーへの小売も展開していますが、これも「在庫減らし」という意味合いが強いのでしょうか。

羽鳥:ええ。すぐオークションに出すといっても、開催日まで待たなければいけないし、会場まで運ばなくてはいけない。7~10日はどうしても在庫になります。この間にエンドユーザーに売れれば、われわれには在庫減らしになり、エンドユーザーにとっては安く買えるチャンスになる。そこで、「ドルフィネット」というインターネット上での小売を98年に始めました。「車を見ることができず、試乗もできない。売れるはずがない」。役員や社員からは猛反対を受けました。でも、私は違うだろうと。

―なぜ、売れると確信できたのですか。

羽鳥:お客さんは現物を見ることより、プロが調べた情報を知りたいはずだからです。中古車の不具合を調べるには、車の下にもぐりこんでオイル漏れのリスクなどを確かめる必要があります。でも、お客さんはそんなことはしない。専門知識がないのだから当然です。そこで「ドルフィネット」では、過去の修理歴から小さなへこみまで、専門家が調べた詳細な情報を開示。さらに、国産車には購入から10年保証をつけました。これほどまでの長期保証は、おそらく業界初。現物を見たとしても、こんな安心は得られません。

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