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株式会社コンパス 代表取締役 鈴木 進介

新しい収益源をつくる!「新規事業の成功方程式」

米国の金融危機に端を発した大不況が日本に押し寄せている。「売上が大幅に落ち込み、当面は売上を上げる方策が見つからない。どうやってこの大不況を乗り切ろうか‥」。日本の大半の経営者は、売上の低迷に頭を悩ませているだろう。この時期、もちろん既存事業を強化するのも大事だが、これを機に自社の強みを活かした新規事業を立ち上げてはどうだろうか。コンパス代表の鈴木進介氏は「自社の強みを活かせば、低投資で新しい収益源をつくることが可能」とアドバイスする。鈴木氏は、過去に約50社の新規事業開発を支援してきた辣腕コンサルタントだ。今回は鈴木氏に新規事業開発のポイントを聞いた。

※下記は経営者通信1号(2009年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―現在、多くの企業は既存事業で苦戦を強いられています。新規事業に着手する余裕などないのでは?

鈴木:多くの経営者は、新規事業のことを誤解しています。新規事業というと、「これまで世の中になかった新しい事業を生み出すこと」と考えがち。大型投資を伴う、イノベーティブなイメージを持っているんです。しかし、誤解を恐れずに言えば、新規事業というのは「新しくなくていい」。どういうことかと言うと、新規事業は「自社にとっての新しいチャレンジ」であればいい。つまり、自社の強みを活かし、あくまで本業の周辺分野で新しい収益源を作るというイメージです。本業の周辺分野で立ち上げれば、低投資で売上アップを実現できる可能性が高い。たとえば、本業でWebデザインの受託制作をしている会社が、フリーペーパーのデザインの受託制作にチャレンジする。これも立派な新規事業です。ですから、新規事業を敷居の高いチャレンジだと考える必要はありません。さらに、新しい収益源をつくることで、経営リスクの分散にもつながります。

―新規事業は「千三つ(千のうち成功するのは三つ)」と言われるくらい、成功させるのが難しいと聞きます。成功する新規事業とそうでない新規事業の違いは何ですか?

鈴木:成功させるポイントは3つあります。1つ目は、自社の強みを活かすこと。強みとは「他社にマネされにくく、他社より優れている部分」のことで、資本・設備・販売網・知名度・専門的なノウハウ・人材の質・社風などに分類できます。どんな企業にも何かしらの強みがあります。その強みをいろいろな側面から徹底的に棚卸しし、明確化させることが大事。そしてその明確化された強みをもとに、新規事業を立ち上げるべきです。

 2つ目は、マーケットの選定。まず成長市場を狙うのが、新規事業の鉄則です。しかし、成長市場には熾烈な競争がつきもの。特に大企業との競争を勝ち抜くのは困難です。ですから、大企業との競争を避けるため、成長市場の周辺にあるニッチ市場に参入すべきです。つまり、マーケット選定のポイントは、成長市場かつニッチ市場ということです。

 3つ目は、事業発展のシナリオです。いくら新規事業を立ち上げても、その後に事業が拡大し、発展していかなくては意味がありません。ですから、あらかじめ事業発展のシナリオを考えておくことが大事です。

新規事業開発の事例とは

―新規事業開発の事例を教えてください。

鈴木:年商50億円規模のアパレルメーカーの新規事業開発の事例をお話しします。この会社は本業が伸び悩んでおり、経営者から「新しい収益源をつくりたい」と相談を受けました。そこで、私はこの経営者に3ヶ月かけて徹底的にヒアリングを行い、先ほど挙げた3つのポイントを整理しました。

 1つ目が「自社の強み」。ヒアリングの結果、この会社の強みは、自社の生産工場を持っている点、アパレル分野のノウハウがある点、中高年の富裕層に対するマーケティングが長けている点だと判明しました。

 2つ目が「マーケット」。まず成長市場をいくつかリストアップし、その中で自社の強みが活かせる市場を探しました。そこで浮かび上がってきたのが「ペット向けのアパレル市場」でした。ペット市場は年々成長を続けている「成長市場」、しかも自社の強みであるアパレル分野、中高年の富裕層向けマーケティングのノウハウが活用できそうだった。さらに、「ペット服のオーダーメイド」というヒネリを加えることで、さらにニッチ市場を狙おうと考えました。

 3つ目が「事業発展のシナリオ」。計画としては、まずはペット向けのアクセサリー・服のネット販売をスタートし、その後にペット服の店舗販売、ペット向け美容院の検索サイトなど「ペット向けのアパレル市場」を軸に、事業を多角的に発展させていこうと考えました。

 そして、以上の3つのポイントを踏まえて、コンサルティング開始から1年後、苦労の末に新規事業の立ち上げに成功しました。立ち上げ後、クライアントからは「新しい収益源をつくることができた」と大変喜ばれましたね。

―やはり3つのポイントをきちんと押さえることが大事なんですね。

鈴木:そうですね。あと大事なのは、「新規事業を必ず成功させる」という経営者の情熱です。経営者は日々の資金繰りなどに追われ、得てして短期的な視点に陥りがちです。しかし、企業が中長期的に成長し続けるためには、新規事業の開発は必要不可欠です。また環境の変化によって、新規事業が次世代の主力事業に発展することも少なくありません。「新規事業が企業の命運を左右する」。経営者はそういう自覚を持ち、情熱を持って新規事業に取り組むべきなんです。

鈴木 進介(すずき しんすけ)プロフィール

1974年、大阪府出身。大学卒業後、富士通グループにてコンピュータの営業、商社で半導体の法人営業を経て、2000年に有限会社エフティーシーを設立。2005年に組織・商号変更を行い、株式会社コンパスを設立。代表取締役に就任し、新規事業プロデューサーとして数多くの新規事業の創出や起業家型人材の育成に携わる。著書に『企業における「成功する新規事業開発」育成マニュアル』(日本能率協会総合研究所)などがある。

株式会社コンパス

設立2000年3月27日
資本金10,000,000円
従業員数5名(非常勤含む)
事業内容経営コンサルティング事業(新規事業・マーケティング)、企業研修事業、CSソリューション事業
URLhttp://www.compas.co.jp/
お問い合わせ電話番号03-5937-4438

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