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グローバルの経営者インタビュー

株式会社エイ・エヌ・エス 代表取締役 赤澤 博史

24 期黒字を達成し続ける企業がアジア進出に挑戦する理由

エイ・エヌ・エスは、フルオーダーメイドの基幹システムを「初期費用ゼロ」で提供しているシステム開発会社。「自社用にカスタマイズしたシステムを開発しようとすれば、数百万円から数億円もかかる」という業界の常識を覆した戦略で、創業以来24期連続で黒字経営を実現している成長企業だ。そんな同社が、昨年8月からベトナム進出の準備を開始し、オフショア開発事業を推し進めているという。そのねらいはどこにあるのか。同社の新たな経営戦略にせまった。

※下記は経営者通信28号(2013年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―独自の基幹システム構築・運用で黒字経営を24期続けているなか、なぜ海外の新規事業に挑んだのですか。

赤澤:目の前にある課題と、長期的な課題の両方を解決するためです。まず目の前にある課題とは、日本国内におけるITエンジニアの慢性的な不足です。製造業における基幹システム更新ニーズの増加やスマートフォン関連企業の業績好調により、各種システムの開発案件は増えています。それなのに、登用できる人材がいない。それが、国内の実情です。新卒から一人前のエンジニアを育てようとすれば、ある程度の時間が必要。中途採用は、そもそも市場に人材が出回らないうえに、スキルや待遇面のマッチングが難しい。SES(注1)も完全に売り手市場。いずれにしてもコストがかかる。一方で、開発案件ひとつあたりの予算は年々低下傾向にあります。これでは、経営をひっぱくしかねません。そのため、マンパワー増強とコスト削減を同時に満たす解決策を海外に求めたのです。

(注1)SES:System Engineering Service。ソフトウェアやシステムの開発において、案件の完成を目的とするものではなく、技術者の労働の提供を行う委託契約。

―なるほど。では、長期的な課題とはなんでしょう。

赤澤:少子高齢化により、国内マーケット全体が縮小していくことを懸念しているのです。5年先を見すえるだけなら、現状維持でいいかもしれません。ただ、10年、20年先となると、日本だけを対象にした経営は厳しくなるのではないでしょうか。たとえ基幹システム開発事業が好調でも、それにあぐらをかいていては継続成長は望めません。24期連続で黒字でも、この先ずっとそれが続く保証なんてどこにもないですから。当社がさらなる成長を遂げるため、海外進出は実行可能な資本があるならやるべきなんです。つねに新しい事業に取り組んで、会社を変革していく。それが経営者の義務だと思いますね。

―海外でオフショア開発を行っている企業は数多くあります。いかにビジネスとして成功させるつもりですか。

赤澤:一番の強みはコストです。ベトナムでは、日本の1人月(注2)がおよそ60万円単価に対し15~20万円で対応できる。そのため、開発費が半額以下ですみます。ただし、品質がよくないと「安かろう悪かろう」となる。そこで、日本の開発スキルと同等のレベルになるような仕組みをつくりました。まず、日本におけるプロジェクトの開発プロセスを標準化して、ベトナムでも同様に作業ができる環境を整えました。さらに、独自のプロジェクト管理システムを構築。開発の進捗状況を日本側とつねに共有し、最低限の指示で進行することで一定の品質レベルを確保できるようにしました。

(注2)人月:プロジェクトの工数(規模)をはかる単位のひとつ。プロジェクトの完成までに、ひとりの担当者が月に換算してどのくらいの期間を従事する必要があるのかを表している。たとえば、4人で3ヵ月かかれば12人月となる。

―ほかに差別化している要素はありますか。

赤澤:100%子会社を立ち上げたことです。企業がオフショア開発をする場合、スキルレベルや品質が不透明なら、それがリスクとなります。でも、どんなノウハウがあり、どのようなスキルをもったエンジニアが開発を担当しているかが事前にわかれば、安心できますよね。だから、他社に委託するのではなく、自社の技術を直接継承できる子会社にこだわったんです。じつは当社も7年前にオフショア開発を依頼し、苦い思いをしたことがあるんです。取引先の指示で海外の事業者に開発を委託した際、かなり品質の低いものがあがってきた。しかも、一度つくったらそれで終わり。修正の依頼も受けつけない。結局、自社ですべてつくり直すことに。手間もコストも余計にかかり、オフショアに対して悪い印象を植えつけられることになりました。その経験があったからこそ、当社がオフショア開発を手がける場合は、スキルやノウハウをそのまま伝えやすい100%子会社でやろうと決めていました。

―子会社の社長は、27歳のベトナム人と聞きました。日本人ではなく、若手の現地出身者をトップにおいたねらいを教えてください。

赤澤:日本とベトナムの共存共栄をめざす会社にしたかったからです。新興国のベトナムは、国や大学をあげてIT教育に取り組んでおり、優秀な技術をもった若者がたくさんいます。彼らは自分たちのスキルを発揮して、母国の発展に貢献したいと思っている。当社は、そのチャンスの場を提供し、彼らのパワーを会社の成長に変えていこうという考え方です。「会社を成長させていくことで、ベトナムを発展させていこう」と。その理念を現地スタッフと共有する役割を果たすのが、若きベトナム人社長のホン君なのです。単に「安価な労働力を求めて」「人材が豊富だから」という希薄な利害関係ではなく、もっと密度の濃い関係性を築く。そうすれば、優秀な人材の流出を防ぎ、強固な組織をつくることができる。日本人が現地法人の代表ではないケースは珍しいかもしれませんが、私はこの体制がベストだと考えました。

―今後の成長戦略を教えてください。

赤澤:昨年から、自社の開発案件に取り組んできましたが、ようやく開発体制が整いました。そこで、子会社のオフショア開発をラボ型契約で他社に提供する「グローバルラボ」のサービスを今年の9月からスタートしました。日本語と英語を話せるブリッジSEが対応するので、言語によるコミュニケーションの問題はありません。また、万が一問題が生じても最終的には24年にわたり300社以上と取引実績を行ってきた当社がサポート。クオリティも保証します。「エンジニアが不足しているが、単価が高いため国内SESに依頼するのは難しい」「かつてオフショア開発を依頼したが、品質が悪かった」という企業の悩みを解決したいですね。

―海外拠点は拡大していくのですか。

赤澤:現在は21名の開発体制ですが、5年以内に100名体制にして、より多くの開発に携わっていきたいと考えています。そして、ゆくゆくはシンガポールにホールディングス会社を設立し、アジア市場にもサービスを提供していくのが目標ですね。そのための準備として、ベトナム国内に向けたサービスの準備をしているところです。これからも、新たなチャレンジを続けていくことで継続的な成長をめざしていきます。

赤澤 博史(あかざわ ひろふみ)プロフィール

1978年、東京都生まれ。大学卒業後、株式会社エイ・エヌ・エスに入社。エンジニアとして、多数の新規プロジェクトに参画。その後、プロジェクトマネージャーを経て、2007年に代表取締役に就任する。2010年、システムアウトソーシング事業を新たにサービス化した「ITTrust」を開発し、業界の注目を集める。2011年、企業の利益アップをサポートする「IT-Trustセミオーダー版」を新たにリリース。2012年8月にはベトナムに進出し、オフショア開発事業に取り組んでいる。

株式会社エイ・エヌ・エス

設立 1989年12月
資本金 3,000万円
従業員数 36名
事業内容 システムアウトソーシング事業、システムインテグレーション事業、ASPサービス事業、SaaS事業、ICTコンサルティング事業、IT技術者派遣事業、IT機器販売事業、ネットワーク回線関連事業、ソフトウエア販売事業
URL http://www.ans-net.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-553-200(受付時間 平日9:00~18:00)

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