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グローバルの経営者インタビュー
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マイツグループ CEO 池田 博義

「歴史の共有」×「時代の先取り」でグローバル企業へ進化する

2013年に創業100周年を迎え、グループ売上高は500億円を超えるサカタのタネ。海外市場での売上比率が約50%を占め、アジア市場でも成長を続けている。そこで今回は、同社代表の坂田宏氏に対談を依頼。中国で日系最大手の経営コンサルティング会社を擁するマイツグループ代表の池田氏と、アジア展開を成功させるポイントなどを語りあってもらった。 

※下記は経営者通信35号(2015年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

170ヵ国以上で商品が流通

―サカタのタネはアジア地域(日本を除く)の売上比率が全体の約10%にせまっています。アジア市場の進出状況を教えてください。

坂田:まず前提として、当グループは世界市場を「アジア・オセアニア」「北中米」「南米」「ヨーロッパ・中近東・アフリカ・ロシア」の4エリアにわけ、それぞれを統括会社が管轄する4極体制をしいています。そのなかで当社のタネは世界170ヵ国以上に流通。19ヵ国26拠点で事業ネットワークを構築しています。

 アジアへの進出は比較的新しく、1996年のタイに始まり、97 年に韓国、98年に中国、2008年にはインドに進出しました。世界的に見ても、アジアは今後いっそうの拡大が期待できる市場です。

―その理由はなんでしょう。

坂田:たとえば中国料理は野菜をふんだんに使い、ひとりあたりの年間消費量は日本の2.6倍です。インドも基本的にベジタリアンの国ですから、野菜の消費量は膨大。そこに当社は現地のニーズにあった野菜のタネを供給して、順調に売上を伸ばしています。

 また、これまで中国市場では「固定種(※)」が中心でした。しかし、近年は「F1品種(※)」と呼ばれる付加価値の高い品種が好まれるように。当社が得意とするフィールドが広がってきたのです。

※固定種:その品種から採種した場合、ほぼ同じ性質の品種が数世代にわたって採れる品種
※ F1品種:ふたつの異なる親系統を交配してつくった1代目の雑種のこと。数々の優れた特性をもつハイブリッド品種

輸出加工型から地産地消のビジネスへ

―マイツグループにおけるアジア市場の現況を教えてください。クライアント企業のビジネスに変化はありますか。

池田:当社が運営する会計事務所系のネットワーク「マイツグループ中国・アジア進出支援機構」では、16ヵ国32拠点を有し、約3500社の日系企業をサポートしています。

 最近の変化としては、急激な円安がおよぼす影響が大きいですね。現在、円建てによる輸出加工型のビジネスは成り立ちません。労働賃金の上昇もふまえると、今後は現地でつくって現地で売る「地産地消」のビジネスが主流になっていくでしょう。その点、サカタのタネは地産地消のモデルになると思います。

坂田:種苗業は自然環境や地域の文化と強く結びついているので、とくに野菜は消費される地域に近い場所で研究を行っています。文字通り、地に足を着けた非常に息の長いビジネスですね。

―1998年にサカタのタネが中国に進出する際、マイツグループが支援したそうですね。

池田:ええ。中国・蘇州の太倉市に工場とオフィスを設立し、現地法人の立ち上げをサポートしました。

 進出について太倉市からは歓迎の意向を示されていたのですが、手続きに時間を要してしまいました。中国当局に提出する書類のなかで、業種を「穀物」に該当すると先方が解釈したのです。本来の事業である「野菜・花」であれば奨励業種なのですが、「穀物」だと規制業種になってしまいます。

 このように中国では直接の管轄である市を超えて、北京の当局がチェックに乗り出してくるケースがあります。これから進出する日系企業も留意してほしいですね。

坂田:私たちは「ThinkGlobal,ActLocal」を標語にグローバルな視点で考えながら、ローカルを意識した研究開発、生産、流通、販売を行っています。とくに中国では、市・州・国という何重ものローカルルールを把握するのが必須。中国進出の際は、現地に精通するマイツグループだからこそ安心してサポートをお願いできました。

 そして、進出した後に重要なのは人材です。現地でいい人材を見つけ、育てていくことが成功のカギだと考えています。

100年の社史を伝えて各拠点に情熱を伝播させる

―人材育成やマネジメントで工夫していることを教えてください。

坂田:現地法人のトップは、基本的に現地の人材に務めてもらっています。やはり、現地のことは現地の人でないとわかりません。

 また海外拠点のスタッフには、本社から離れた場所にいながらもグループ全体のミッションを把握し、自社の商品や品種の知識を十分に蓄えてほしい。そのために海外法人の社員を日本に招き、実際に農場を自分の目で見て、本社の研究開発スタッフとコミュニケーションをとるなどしてもらっています。

池田:人材教育がきちんとできる企業でなければ、もはや利益を出せない状況です。サカタのタネのように、本社を訪れて学びの機会を得ることは非常に重要だと感じますね。

 また、中国では100年続いている企業が非常に少ない。その歴史の一端を垣間見るだけでも現地の社員は驚くでしょう。

坂田:おっしゃる通りです。2013年の創業100周年を機に各国から多くの社員を本社に招いたのですが、予想以上にインパクトが大きかったようですね。

 これまで研究開発のスタッフが来る機会はあっても、管理部門の社員はなかなかチャンスがなかった。そこで節目の年にあわせて、多岐にわたる部門の社員を本社に呼んで、こちらの文化や風土にふれてもらったわけです。

 すると帰国後に各々が発表会を開き、本社を訪れた感想について現地の社員に細かく伝えてくれた。それぞれ、「タネ」に対する情熱の歴史を感じとって帰ってくれたようです。

―マイツグループでは、どのようにアジア拠点と交流しているのですか。

池田:中国の場合は、現地の優秀な社員を2名選抜し、2年間の本社研修を行います。最初の1年間で日本語検定1級を習得し、2年目には日本の会計や税務について学びます。提携する監査法人に外部研修に出る場合もありますよ。

 くわえて基本的な研修として、中国の10拠点から各10名程度を本社に集め、「社長学校」と称した勉強会を開催。そこでは経営理念や社訓を学び、現地で感じる問題点を私が直接聞く機会を設けています。

 日本ならではの風土や慣習を学ぶことは、本社と海外拠点との意思疎通をはかっていくうえでも重要です。どうしても日本人は言葉足らずのところがあるので、その特性を理解しなければ行き違いが生じてしまいます。

坂田:同感ですね。私はヨーロッパに6年間駐在していましたが、あちらは多くの国々がせまい地域に密集していて、歴史的にも融合しやすい素地がある。その点、アジアは各国の価値観や文化が異なり、高い壁があると感じます。

 だからこそ重要なのは、徹底した現場主義。海外拠点を知るためには、まず現地に出向く。ほかの市場との違いを認識しながら、現場に即した視点に立つ。本社や他拠点がこうだから、といった押しつけはしないことです。

 当然、FacetoFaceのコミュニケーションは欠かせません。電話やメールも便利なツールですが、実際に相手が考えていることを推し量りながらのコミュニケーションは難しい。現地責任者の表情を見ながら、考えを尊重して話すべき。国ごとの風土が大きく異なるアジアでは、なおさらそれが重要です。

もう2番手商法は通用しない

―アジア進出について、中堅・中小企業の経営者にアドバイスをお願いします。

坂田:変化に対して敏感になり、それを先取りすることが大切です。そのためにも、経営者が現場に足を運んでください。

 当社の事例をあげるなら、食に関するマーケットは保守的といわれています。偉大な食文化をもつ国ほど、素材や手法をあまり変えようとしないからです。でも中国は新しいものを積極的にとりいれるんですね。世界各国の市場を見てきた私にとって、これは大きな驚きでした。

 たとえばブロッコリーやカリフラワーといった西洋野菜は以前の中国にはなかったものですが、最近10年間で飛躍的に消費量が増加。中国料理に使われ、食文化にスムーズにとりいれられています。このような市場の嗜好と変化を把握し、先取りした商品を開発することが重要だと思いますね。

池田:数年前であれば、「2番手商法」が成り立っていました。成長市場に属していれば、1番手にならなくても勝負ができたのです。ところが競争過多になった昨今、2番手や3番手では利益を得られません。

 つまり、変化に即応して、ニッチな分野でもトップをめざす。自社が勝てる土俵を真剣に考え、No.1にこだわってください。

池田 博義(いけだ ひろよし)プロフィール

1948年、京都府生まれ。1971年に同志社大学経済学部を卒業。1975年、公認会計士資格取得と同時に池田公認会計士事務所、税理士池田博義事務所を開設。1987年に株式会社マイツを設立し、代表取締役に就任。1993年に中国・上海に進出。翌年に上海代表処を開設し、首席代表に就任。中国・アジアに約3,500社の日系企業のクライアントを抱える会計事務所系コンサルティング会社の最大手にまで成長させる。マイツグループCEO、税理士法人マイツ代表社員。

株式会社サカタのタネ 代表取締役社長 坂田 宏 さかた ひろしプロフィール

1952年、神奈川県生まれ。1974年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、第一勧業銀行(現:みずほ銀行)を経て、1981年に坂田種苗株式会社(現:株式会社サカタのタネ)に入社。1988年に単身オランダに飛び、イチから事業所を設立する。Sakata Seed EuropeB.V(. 現:Sakata Holland B.V.)総支配人、本社社長室長などを経て、1998年より取締役に就任。管理本部長や広報宣伝部長などを歴任後、2007年に代表取締役社長に就任。現在は日本種苗協会会長、日本家庭園芸普及協会副会長などの要職も兼務している。

マイツグループ

設立1987年11月
資本金1億円
売上高27億円(2014年12月期)
従業員数約350名(2015年1月現在)
事業内容会計コンサルティング事業、会計監査、M&Aコンサルティング、税務コンサルティング、人事労務コンサルティング、企業進出コンサルティングほか
URLhttp://www.myts.co.jp/
お問い合わせ電話番号042-638-0713

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